日本薬剤師会学術大会に参加して

日本薬剤師会学術大会 参加報告
みずほ調剤センター薬局 平野 貴行
 特別記念講演には静岡出身で東北大学薬学部を卒業し、同大学院博士課程を修了し、作家として活躍されている瀬名英明氏による「科学・薬学の未来」というテーマの講演でした。
 これからは、薬学単独ではなくロボット工学と薬学など様々な分野との融合が進めば、もっと色々な分野での研究・開発が進むという内容でした。瀬名氏も様々な分野とのコラボレーションによる作品を作ったり、公演されているそうですが、まだ薬学とのコラボレーションは実現していないというお話でした。どんな事でも色々な視点から視る事の大切さを感じました。
 企業の展示ブースでは、様々な企業が新製品の紹介の為に、展示・実演をしていました。機械だけで簡単な操作で色々な事が出来る事に驚きの連続でした。

みずほ調剤センター薬局 上田 さゆり
◆シンポジウム
 東京大学大学院情報学環准教授の山本隆一氏が、「薬局のIT化と医療連携〜クラウドの現状と課題〜」と題して講演されました。すでに運用が始まっている長崎の「あじさいネット」や稼働したばかりの地元静岡の「ふじのくにねっと」など、地域連携の先進地域から報告がありました。いまや薬局は地域での医療連携に欠かせない存在になりつつあります。
 その一方で、薬局では病名をわかっていると勘違いしている患者さんが多くいるとか、薬剤師は処方せんの情報だけで調剤し服薬指導をしていることに驚いたという医師もいたという話が出てびっくりしました。
地域医療連携システムによって、薬局では病名、検査値、注射薬などの確実な情報を得てより的確な服薬指導ができるようになると期待が高まります。そうなると、薬を渡したら終わりではなく、入院から退院時薬までは病院薬剤師、在宅での薬は薬局薬剤師の管理という責任分担で薬剤師業務を行うという共通意識が重要になってくるという座長の言葉が心に残りました。

◆ランチョンセミナー
超高齢化社会における骨粗鬆症治療戦略-新薬の登場とガイドライン改定を踏まえて-
 骨減少症(osteopenia:オステオペニア:骨密度が低い病態)の診断を受けた人は、骨折率が高くなるので予防が必要となります。より骨密度が低下した骨粗鬆症(osteoporosis:オステオポローシス)では薬物治療は重要で、ビス剤・活性型VD3・PTHが中心です。最近ではビス剤の月1から年1の製剤や、点滴静注剤なども登場して選択肢が広がっています。
 また、高齢者では一度骨折してしまうと他の骨折を次々に引き起こすリスクが高くなりドミノ倒しのように連鎖します。骨折ドミノで重症化した人の治療も重要となっています。
 骨粗鬆症リエゾンサービスOLSは骨折予防に多職種で取り組もうというものです。潜在的な患者さんが非常に多いと言われる骨粗鬆症を少しでも減らして骨折予防、転倒予防、要介護者の軽減につなげるため、病院などの医療機関や地域で活躍する骨粗鬆症マネージャーを育成していこうとしています。

学会・活動報告

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