第39回日本薬剤師会学術大会に参加して(2006年10月8日〜10月9日)

薬剤師ルネサンス  〜豊かな人間力の創造〜

みずほ調剤センター薬局 上田さゆり

今年は10月8日(日)〜9日(月・祝)に福井にて、「生かされて生きる喜びの生活と薬剤師」―故きを温ねて新しい薬剤師像を探るーというメインテーマのもと大会が開催されました。
一般演題のポスター発表に登録して参加してきましたので、僅かですが報告いたします。

昨年当薬局の近くに小児科がオープンしてからの日常業務の中から、保護者からの質問や要望に焦点を当てて実務に生かせることを模索した内容を薬局の皆でまとめたポスターを作りました。当日は、実際に保護者がどのように薬を飲ませているか、どのような情報を得たいと思っているかなどに関心が集まったように感じました。

「服薬指導」では小児を対象としたポスターがいくつかありました。
入院患児についての服薬状況を扱った発表で、小児の服用を嫌がる理由は味・匂いやざらつきが多く、内服できない患児は一度方法を変えたくらいでは改善されることは少ないとありました。同様のことを漏らしておられたお母さんがいらっしゃいました。
また最近新しい製剤に変更されたクラリシッドドライシロップについて飲みやすくなったという検証報告に加えて、後発医薬品クラリスロマイシンが飲みやすかったという発見もあったという興味深いポスターもありました。

敏感肌患者用に低刺激性スキンケア製品を紹介し指導記録(コスメディカルカルテ)を作り皮膚科で医薬部外品を推奨された患者向けの販売業務に生かしているとドラッグ併設薬局の若い方と話をしました。また美白外用剤5%ハイドロキノン軟膏を院内製剤として炎症後色素沈着・老人性色素斑・肝斑の治療(ビタミンC・トラネキサム酸内服で無効な症例)に用い効果が上がっているというものもありました。ちょうど雑誌でビタミンC誘導体(医薬部外品)ローションやジェルがニキビに有効だったという記事を読んだ後だったので化粧品や医薬部外品を取り上げた発表にも関心がありました。

シンポジウムでは、東大の澤田先生の創薬・医薬品適正使用・育薬の講演を聴きました。育薬は市販後医薬品の諸問題を明らかにして解決するための研究であり、日々の業務の中で今までに報告のない副作用を一つでも見出せば、それは新種の動物を発見したのに等しいほどの大発見であるので育薬研究の一端を担ってほしいという現場の薬剤師を励ますようなお話でした。ファーマコビジランス(医薬品監視)が重要であるという名城大学後藤先生のお話も聞くこともでき、個々の患者さんからの情報収集の大切さを感じました。
また別のシンポジウムでは一般用医薬品販売の制度改革により薬剤師による生活者への情報提供が重要となり、制度の普及啓発に取り組んでいただきたいというお話も聞きました。これから更に期待され対応していかなければならない問題です。

会場が分散していたのと自分のポスター発表があったため、行きの電車が一緒だった女性薬剤師会の方々の発表をきくことはできませんでしたが、会場で出会った多くの皆さんに刺激を受けた大会でした。夜は芦原温泉の露天風呂で丸くて明るい月を眺め、友人とゆっくり語ることができリラックスできました。4月から頭の隅で気になっていたこと(初めてのポスター製作)が一つ解消されホッとしました。

学会・活動報告

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