第43回 日本薬剤師会学術大会(平成22年10月10〜11日まで)

日時 : 平成22年10月10〜11日
場所 : 長野市
テーマ : 求められ、応えられる薬剤師へ
特別記念講演 : “宇宙から見る生命のつながり”
講師 : 宇宙飛行士 毛利衛
ポスター発表に参加

第43回日本薬剤師会学術大会の発表を終えて

しんきよす薬局 佐久間裕史
今回私は学術大会にてポスター発表をし、薬剤師の先生から沢山の質問を頂いた。
その中から特に学術面に繋がる質問について述べたい。
治療中の貧血症状にも関わらず、鉄制限の必要性について。坑ウイルス薬:リバビリンの服用によって貧血症状が起こる。この原因は赤血球膜のATP利用を、リバビリン三リン酸がATPと競合阻害する事により赤血球の変形能が低下し、結果、脾臓で破壊される経路をたどり貧血の原因になると言われる。しかしウイルス性慢性C型肝炎治療中患者には鉄の制限がされる。鉄イオンは腸管から吸収されるまでの過程で2価と3価の往復がありそれに伴いH2O2に働きヒドロキシラジカルが作り出される(Fenton反応)。この活性酸素種がリソゾームの膜や傷害、脂質の酸化によりミトコンドリア膜を傷害し肝細胞が破壊され、破壊された肝細胞から中に蓄積されていた鉄が放出されその鉄が原因となって更に活性酸素種の量が増加し悪循環となって肝細胞傷害が増幅し続け、そして肝細胞の再生と破壊が進行し肝硬変や肝癌に移行しやすくなりC型肝炎治療患者への鉄分摂取は制限される。
「私の薬局の医院の先生は鉄製剤の内服を処方しているがいいのか?」と質問があった。
「処方されるドクターにも意図があると思います。貧血症状を伴うC型肝炎の患者に鉄分の補充は決して悪くはありません。しかし服薬指導時薬剤師が行うべき指導は、鉄製剤と共にサプリメントや食物からの過度の鉄分摂取はやめる事を伝えるべき。」事を伝えました。
今回発表を通して、個々の質問に気付かされたのは、「何故」という物事に追求が大きく乏しいのに気付きました。継続して薬剤師のあるべき姿を追求し日々精進していきたいと思います。

第43回日本薬剤師会学術大会に参加して

うめ森調剤センター薬局 曽根良介
平成22年10月10日(日)から11日(月)まで長野にて行われ、テーマは「求められ・応えられる薬剤師へ」でした。
一日目は開会式の後、宇宙飛行士である毛利衛さんの特別記念講演「宇宙から見る生命のつながり」を聴きました。宇宙に行くと起こる不思議な現象や人間の変化などは聞いていてワクワクしましたし、また宇宙へ行くことによって起きる様々な障害を薬(酔い止めや骨粗鬆症の薬など)を飲むことで克服していると聞き、薬に関わる者として少しうれしさも感じました。講演の中で特に印象深かったのは次の場面でした。「最近楽しかったことは何ですか」という質問を聞いた後さらに「なぜそれを楽しいと思ったのでしょうか?」、「そう感じた理由は?」、「それはなぜですか?」と次々に質問されていました。その後のお話で、生きること自体が喜びであり、生きていることで生命が誕生して現在まで40億年間つながっていることになり、それこそが喜びであるとおっしゃっていました。一度宇宙へ行くことでそんな考えに行き着くのかと驚きを感じました。宇宙にはなかなか行けそうもありませんが、このように外から見ることであらためて見えるものがあると感じた講演でした。
その後場所を移し、キッセイ薬品工業によるランチョンセミナー「糖尿病の新しい診断基準について」を受講しました。 2010年の7月に11年ぶりに改定になった診断基準についてこれまで補助的な位置づけだったHbA1cが新たに追加されたこと、またこのHbA1c値が日本と世界では0.4%差異があるため日本では従来の値に約0.4%を足した国際標準値に移行することなど、新しい基準で早期に糖尿病患者が治療に移行することが期待されます。
二日目は夏の参議院選挙で復活当選した藤井もとゆき氏による講演を聴いたのち、いくつかの企業ブースを回りました。私は電子薬歴についていくつかの企業を見ましたが、今話題のipadを利用したものもありいろいろな利用・応用方法を聞くことができました。ポスターも時間があまりなかったので質問まではできませんでしたが特にハイリスク薬やジェネリック医薬品について見て回りました。
今回初めての学術大会への参加ということでなかなか上手に動けなかった面もありましたが、いろいろと興味深く見ることができました。

学会・活動報告

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