第36回日本薬剤師学術大会報告 (2003年10月12日〜10月13日まで)

「第36回日本薬剤師学術大会」が2003年10月12日〜13日に福岡で「薬剤師21世紀 明日への挑戦」〜国民への情報提供とセーフティマネジメント〜と題して開催されました。参加したメンバーからの報告です。

福岡薬剤師学術大会報告

仁田 尾

1)三共ランチョンセミナー「HMG・CoA還元酵素阻害剤の選択を考える」
脂溶性スタチンはコレステロール低下や粥状動脈硬化の退縮にもかかわらず心イベントは大きく減少しなかった。これはコレステロール生合成ばかりでなく、多くの非肝細胞においてHMG・CoA還元酵素の反応を介する必須物質産生をも阻害するためと考えられる。
ミトコンドリアの好気的エネルギー産生系の必須因子であるユビキノンは肝臓で合成されると考えられていたが、心臓を含むおおくの臓器で合成されることが報告されている。しかし脂溶性スタチンはこのユビキノン生合成を抑制しミトコンドリアのATP生成速度を遅延させ、心筋収縮に影響している可能性がある。このような心筋エネルギー代謝の攪乱ゆえに脂溶性スタチンは心イベントを減少させることができないのではないか?そればかりか種々の組織で予測不能な副作用が起きるかもしれない。
水溶性スタチンは肝細胞に選択的に分布するので脂溶性スタチンのような副作用は現れにくいのではないか。
2)走る食品衛生教室について−食の安全・安心を目指して−
この発表は以前「のなみ」にいた大塚 清香さんがしたものだった。
クリーンフード号があまりに使用されていなかったので考えついたものだったようだ。「見て・聞いて・体験して」をモットーに、市民の食についての関心を向上させることがねらいだったみたいだ。移動中の車の中では「食品衛生ビンゴゲーム」をやったりして楽しみながら学べる工夫をしていた。頑張っている彼女が頼もしく見えた。
3)褥瘡治療薬情報提供における活動報告(第5報)
大学、病院、薬局の薬剤師が一堂に会し第1回薬剤師褥瘡サミットを開催した。最新の治療に関する勉強を行うと共に、標準化に取り組み、各自の現状や今後の抱負などの情報交換を行った。これからもサミットを続けてこの集まりを大きくして医療チームでの薬剤師の役割が目にみえて認識されるように頑張りたい。
4)薬剤師の薬剤耐性ブドウ球菌保有状況
鼻腔に綿棒を入れ菌を採取し、メチシリン耐性ブドウ球菌の保有状況を調査。88%が保有していてその内10%がMRSA保菌者であった。これは他の医療職にくらべても高い。マスクの着用や手洗いうがいを頻回にして集塵装置付の調剤台が望ましい。引き続き追跡調査を行う予定。結果 がどうなるのか?
以上、私が聞いたオーラル発表の要旨です。ポスターセッションは近くのものしか見ることができませんでした。機器展示はEM等を見ました。とにかく忙しい学会でした。会場の移動も少し大変だった。でも太宰府にも行けたし、お昼も美味しかったし・・・

第36回日本薬剤師会学術大会に参加して

石本 己知代

日常の調剤業務や服薬指導に活用できそうな報告があり以下にまとめてみた。

1)お薬手帳について

お薬手帳は患者自身が所有できる服薬歴であり積極的にその意義を啓蒙することで、9月時点で19.1%であった所持率が翌年7月には60.2%になった。
・初診時の声かけ
・重複・相互作業はもちろん、お薬の印刷の横のスペースを利用して短期の風邪薬などは
 眠気がでた鼻水によく効いたなど、また長期のお薬の場合は検査値や家庭で測定した
 血圧など、患者自身にとっての必要性を説明する。
・長期に渡って同じ薬が投薬されている場合は長期に服用することで出てくる可能性の
 ある副作用
 (ex歯肉肥厚など)があり、他科に受診した際、どれ位の期間服用されているかが一眼で
 分かるものである
 事を理解してもらう。

2)Face scaleを使ったコミュニケーションツールの有用性について

痛みの程度に関しての表現は患者ごとに微妙に違い客観的に把握しにくい面 があるがFace scaleを利用することで患者の痛みの改善度が分かりやすくなった。また患者さんがそれを受診時に医師に提示することにより表現がしやすくなったと喜ばれている。

3)十文字革命の参加について

添付文書から禁忌や重大な副作用などを一文字で表す略語・記号を作り、ソフトに入力し薬歴に印字された薬品名の横に全角5文字(半角10文字)で表示できるようにした。
対話を広げるツールとして利用し、またうろ覚えの時にも助かり、副作用情報を正しく伝えそれに対する対応を具体的に説明していくようになった。患者さんとの信頼関係が深まり、薬を理解し安心して服用していただけるようになった。

4)インスリン自己注射の薬剤管理指導について

全インスリン製剤使用患者にアンケートを行い、血糖コントロール不良患者に、時により腹部時により大腿部ではなく、注射部位 を腹部に限定し食事30分前を徹底してもらうことを指導する事により、HbA1c、血糖にかなり改善がみられた。

十文字革命の参加について 〜患者に伝えるべき副作用を見落とさない画期的な方法〜
のなみ調剤センター薬局 渡邉 萬里

薬剤師は、患者が薬を安全に服用できるように、リスクマネージャーとして、その専門性を発揮しなければならない。しかしながら医薬品数は年々増加しており、それらの情報を全て把握し、確実に伝えるのは困難であり、また、その副作用をうまく伝達するという事も難しい。
そこで禁忌および重大な副作用を一文字で表わす略語・記号を作り、その略語・記号をソフトに入力し、薬歴に印字された薬品名の横に、全角5文字(半角10文字)で表示するというものが十文字革命である。それを利用して、服薬指導するようになってからは、患者よりの副作用の初期症状の情報が増え、副作用事故防止・コンプライアンス向上に役立っている。
これにより患者と薬剤師の信頼関係も深まっている。ソフト入力は、その薬局で、とり決めを作り、薬剤師が行っているということであった。

学会・活動報告

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